Denon DP-1200 のターンテーブルが回らなくなってしまいました。
モーター不動。
治せる技術があれば良いのですが、持ち合わせておりませんので、買い替えを検討することに。
Victorのレコードプレーヤー
DENONの古いレコードプレーヤーは中古市場でもタマ数が多く、エントリーモデルから高級機まで実機を見て選ぶことができます。
DP-1200はエントリーモデルでしたが、しっかりした低音の分厚いサウンド、というDENONのアナログプレーヤーの特徴がよく感じられるものでした。
レコードの終わりで自動的にアームが上がるオートリフト機能が便利で、手軽にレコードをかけられる入門機としては最適でした。
今回は、ダイレクトドライブもいいけど、マイクロ精機のベルト駆動もいいなあ、とか考えていると、全く予期していなかった、Victorのプレーヤーを見つけてしまいました。
Victor JL-B77
Victor JL-B77 の発売は1974年(昭和49年)。発売価格91,000円の高級機のようです。
まずキャビネットの木目に目が行きました。ちょっと他の中古品とは違うオーラを感じます。
高密度ブナ材を特殊ビニール系の接着剤で60mmの厚さに張り合わせた積層構造となっており、モーターやアーム部分をくり抜いた構造となっています。これにより内部振動を制御するとともに外部振動を抑えています。(「オーディオの足跡」より)
大抵のアナログプレーヤーは木目の塩ビシートで躯体はMDFですが、これは積層板でできているようです。厚さ60mm!。天板のブナの木目が美しいです。
積層構造のキャビネットはその後の各社のレコードプレーヤーも追随したそう。Victorのこの機種が先鞭だったのですね。
当時のカタログ写真、気合の入ったカットモデルが素晴らしい。キャビネット部分はまるでバームクーヘンのようです。
トーンアームもマニュアルでいかにも精巧に作られています。マニュアルのトーンアームって実験器具のようで見ていてワクワクします。
トーンアームを支えるピックアップボード部分には7mmのアルミ板。板厚を見せるためキャビネットに切り欠きを施しています。デザイナーわかってるなぁ。
積層板とアルミの板厚の断面を見せる構成が美しい。
駆動部も抜かりありません。DCモーターのダイレクトドライブ。
JL-T77では駆動モーターに20極60スロット6フェーズのDCダイレクト・ドライブモーターを採用しており、無接点のホール素子サーボとビクター独自の正弦波駆動方式によって静粛な回転を可能にしています。
また、ターンテーブルにはアルミ合金製ダイキャストターンテーブルを一枚ずつ念入りにダイナミックバランスをとりながら仕上げて使用(「オーディオの足跡」より)
お買い上げして各部を清掃します。くすんでいたり汚れていたりする金属部分はピカールで、小傷があるアクリルカバーはサンエーパールで磨きます。ジャンク時計のお手入れ技術が活かされる部分です。
クリアで見晴らしの良い音
オルトフォンのカートリッジをセッティングしてみます。
マニュアルのトーンアームは初挑戦なので、調べながらなんとかセッティングしました。
DENONのエントリーモデルとは音質が全く違いました。
DENONの音が下に重い、ややぼやけた音であるのに対して、JL-B77 の音は非常に解像感が高く、高音域から低音域までクリアで見晴らしの良い音を出します。
演奏者や位置、距離感がつかめるようなリアルな音場、クリアで解像度の高い表現に「レコードってこんなに情報が詰まっていたのか」と驚かされました。
これがエントリーモデルと高級機の違いなのだなあと、さらにオーディオ沼に深くハマっていく私なのでした。