モトアザブ退屈日記

日々のモノ・コト・忘備録。クルマ、時計、オーディオとか骨董とか。

ジャクリーヌ・デュ・プレの伝説的録音集

アナログ盤で弦楽器を聴くのが心地よく、チェロのレコードが増えてきました。

クラシックを聴くときはオルトフォンのカートリッジで。

 

「デュ・プレの伝説的録音集」5枚組のアナログ盤です。

没後30年で企画された2017年発売のもの。

 

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《LP1》

エルガー チェロ協奏曲ホ短調 Op.85, 他

[録音]1965年8月, ロンドン、キングズウェイ・ホール

 

LP2

1) ハイドン:チェロ協奏曲第1番ハ長調 Hob.VIIb-1,

2) ボッケリーニ:チェロ協奏曲変ロ長調(グリュツマッヒャー改訂)

[録音]1967年4月, アビー・ロード・スタジオ

 

LP3

1) シューマン:チェロ協奏曲イ短調 Op.129,

2) サン=サーンス:チェロ協奏曲第1番イ短調 Op.33,

[録音]1968年4, 5, 9月, アビー・ロード・スタジオ

 

LP4

R.シュトラウス:交響詩『ドン・キホーテ』Op.35,

[録音]1968年4月, アビー・ロード・スタジオ, ※初アナログLP盤発売/

 

LP5

1)ドヴォルザーク: チェロ協奏曲ロ短調 Op.104,

2)ドヴォルザーク:森の静けさ Op.68-5,

[録音]1970年11月, シカゴ、メディナ・テンプル

 

30㎝角のレコードジャケットというのは、手に取って眺めたりする大きさとして絶妙なサイズ感なのだと感じます。

初アナログ盤以外の4枚のLPはそれぞれ当時のジャケットデザインでBOXに入っているという豪華仕様です。

 

配信で同じアルバムを聴くことができますが、音圧が全く違うことに気づきました。アナログ盤の方がダイナミックに聴こえます。音の厚みが違います。

それもそのはず、オリジナル・マスターテープよりアビー・ロード・スタジオで、2011年日本独自企画SACD盤用の24bit/96kHzリマスターされた音源(LP4を除く)を使用し、彼女の名盤を数量限定生産でアナログLP盤として復刻したものだそう。

 

デュ・プレの全盛期の録音は1960年代。あまり録音状況が良くないとも言われていますが、若き日のデュ・プレの抒情的でありながら時にダイナミックな演奏が高音質でリマスターされています。

 

 

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音楽ストリーミングサービスの高音質化トレンド

このエントリーを書いた翌日、Apple music によるロスレスオーディオの配信がスタートしました。

 

motoazabu-diary.com

 

しかもサブスクリプションの追加費用はなし。Amazonmusic HD に真っ向勝負。

 

www.apple.com

 

黙ってはいられないAmazon側も「Amazon Music HD」を、「Amazon Music Unlimited」ユーザーへ追加料金なしで提供することを発表しました。

 

www.amazon.co.jp

 

Spotifyも年内にはハイレゾ対応するとのことで各社、配信楽曲の高音質化が進みそうです。

メインマシンが iMac 、スマホがiPhone のApple信者としては気になるところですが、一方でAmazon HD利用者としては「歓迎と静観」で良さそうな気がします。

何より、Applemusic のロスレス音源の数が Amazonmusic HD 並みになるまでは時間がかかりそうです。

 

早速、Apple Music と Amazonmusic HD の聴き比べ記事が出ました。

 

www.phileweb.com

 

まとめにある、

「Amazon Music HDは音場重視、Apple Musicはモニターライクな解像感重視のサウンドといったイメージ。」

ハイレゾ音源でも配信元によって音が違う、というのは驚きました。Amazon、Apple、それぞれ音作りのコンセプトが違うんですね。

 

この記事によれば、mora qulitus が抜群に音がイイらしいですが、単品オーディオでは再生が難しいらしいですね。PCオーディオ向けのようです。

 

とはいえ、これは音の入口(源流)の話で、自室の現在のオーディオ構成はどちらかというと古い機材ばかり、音の出口(スピーカー)だけ新しいのでどれだけ高音質化を享受できているか、再生できているか微妙ではありますが、現在の機器構成で Amazonmusic HD の配信を気持ちよく聴けているので良しとしましょう。

 

 

 

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音楽ストリーミングサービス

普段はストリーミング再生で音楽を聴いています。

最初は Spotify が楽曲数も多くUIも使いやすかったので利用していました。

何より、以前使っていたアンプ M-CR611 が Spotify connect に対応していたので操作がしやすかったのです。音質も満足していました。そう、Amazon music HDを知るまでは。

 

Amazon music HDがULTRA HDというハイレゾ音質で配信していることを知り、試しに同じ曲(チックコリア Now He Sings Now He Sobs)でSpotifyとAmazon HDを比べてみたのです。

「こんなに違うのか!」

Amazon HDの高音質は非常にわかりやすかった。ドラムのリムショットの生々しさ、演奏者の距離感がわかるピアノトリオの立体感の表現…

すぐさまSpotifyを解約し、Amazon HDに登録しなおしました。

 

Amazonの場合、他のストリーミングサービスと同等の「全曲聴けます」サービスが“Unlimited”で980円/月、より高音質のHDサービスだと1,980円/月にアップします。高音質で聴き放題ならこの料金でも払う価値ありです。

 

現在は Marantz NR1200 でAmazon HDをストリーミングして聞いていますが、HD音質で聴くためには、HEOS というアプリを通じて機器をコントロールする必要があります。

しかし、このHEOSというアプリが絶望的に使いづらい。Amazonmusic の UI で使える機能がことごとく使えないのです。

 ・お気に入り

 ・プレイリスト登録

 ・履歴から再生

主に使う機能が HEOS アプリからは操作できないため、毎回聴きたい曲やアーティストを一から検索しなければなりません。

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アプリを起動してホーム画面がこれってひどくないですか?…使いづらくてしょうがない。

Amazonmusic アプリから直接機器をコントロールしてHD音質で聴ければいちばん良いのですが、なぜわざわざ使いづらいアプリを通さなければHD音質で聴けないのか、Marantzさんには改善を求めたいところです。

 

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静電気除去シートでレコードのノイズ問題を解決する

中古レコードは状態が様々なので、中にはノイズが酷いものがあります。

大半はパチパチ音。盤が帯電してしまっていてレコードクリーナーを吹き掛けて埃を除去してもノイズが消えません。

あまりレコードクリーナーをかけすぎるのも良くないとのこと。

色々探してみて、効果ありそうだったこれを導入してみました。

 

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トラスコの静電気除去シート。

パッケージデザインにお金をかけない、中身の品質で勝負!な感じ、嫌いじゃないです。

シートは不織布のような素材です。質感はメガネ拭きに似ています。

ターンテーブルに合わせて円形にカット。

 

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薄い布状なのでターンテーブルの高さにも影響ありません。

レコードをかけてみるとどうでしょう。

あれほど酷かったプチプチノイズがほとんど目立たないのです。

静電気由来のノイズには効果てきめんのようです。

 

余ったシートにはもう一つの使い道が。

電動のコーヒーミル(ナイスカットミル)を使っているのですが、粉の出口が静電気を帯びてコーヒー粉が飛び散るのです。

これの解決に静電気除去シートが有効らしいのです。

 

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粉の排出口に合わせてカットして貼るだけ。

粉の飛散はかなり抑えられているようです。

 

静電気除去シート、かなり効果ありです。

 

 

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TOA パワーディストリビューター PD-15

音響機材用につくられた「大きめの電源タップ」です。

古いTOAのPA用電源。ドフで数千円で入手しました。

PA機材の電源供給のため、ラックマウントできる形状になっています。

 

NR1200の下にあるのがパワーディストリビューター。

 

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オーディオは、レコードやネットワーク音源等のプレーヤー側(音の源流に近い側)から電源を入れる、という決まりごとがあります。そうしないと、スピーカーから大きなポップノイズが発生し、スピーカーの故障につながりかねません。

 

例えば、

電源ON時は ①チューナー・プレーヤー→②プリアンプ→③パワーアンプ の順番

電源OFF時は   ①パワーアンプ→②プリアンプ→③チューナー・プレーヤー の順番

にしないと、大きなポップノイズが発生してしまいます。

 

このパワーディストリビューターにはA回路/B回路/C回路の3種類のディレイ回路が組込まれており、主電源をON/OFFするだけで各回路が3秒ディレイで順番にON/OFFされます。これがすごく便利。

 

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これまで普通の家庭用電源タップでオーディオを接続して、各機器の電源をそれぞれ入り切りしていましたが、このパワーディストリビューターを使うことで、電源入切の煩わしさから解放されました。

各系統でラインノイズフィルターが搭載されているらしく、電気信号のノイズ除去もしてくれるようなのですが、ノイズ除去よりも一括電源ON/OFFの利便性の高さとディレイ回路による心理的な安心感が大きいです。

 

 

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EMPIRE 1000 ZE/X MMカートリッジ

EMPIREのカートリッジ

Victorのアナログプレーヤーがとても良い音を出すので、オルトフォンだけでなく、他のメーカーのカートリッジとの違いを確かめたくなりました。

 

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エンパイア社のカートリッジ。1000 ZE/X

1971年から77年ころまで製造された米国製カートリッジ。

 

 1971年の発売当時、スイングジャーナル誌での評価は次のようなものでした。

 

エンパイアのオーディオ製品にみられるサウンド・ポリシーはひとくちにいって、いかにも米国調らしいといい切れる。JBLの新大陸的な明快さと、清澄な迫力とを併せ持っている。ヨーロッパ調の格式ある控えめな品の良さはないが、フィラデルフィア・オーケストラの音のようにエリントン・バンドのサウンドのように華麗な迫力と厚さを感じるサウンドだ。

(中略)

1000ZE/Xはエンパイアのサウンド・ポリシーに乗っとった高級製品に違いない。しかし、この音は明らかに一歩を踏み出した。踏み出したとて「延長上」であるとはいい切ることはできない。というのは、ここにあるのはヨーロッパ調を目指したもので、品位の高い格調あるサウンドなのである。従来になくおとなしさを意識させられる点で、間違いなく「エンパイア」であることを眼で確かめたくなったぐらいだ。ピアノ・トリオを聞き、従来のエンパイアに感じられたきらびやかさが押えられ、スケールの大きさと音のふくよかさがにじみ出てきた。ヴォーカルではより生々しい自然らしさが感じられる。ただシンバルがやや薄く線が細い響きとなったように思われるのは私の耳だけか。

(岩崎千明 スイングジャーナル 6月号(1971年5月発行)「SJ選定新製品試聴記」より)

 

EMPIREだけどヨーロッパ調のサウンド

米国調、ヨーロッパ調という表現が時代を感じます。

エンパイアのカートリッジは一般的に力強く明るく、迫力のあるサウンド。対してヨーロッパ調とは繊細で格調高く米国調に比べおとなしく聞こえるが品位のある響きであり、この1000ZE/Xの場合はこれまでの米国調とは一線を画した落ち着きのある格調高いヨーロッパ調の音を出すという意味でエポックなカートリッジであったようです。

 

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大編成の後ろの音まで聴こえる

レコードを再生してみると、トレース性能が高い、と感じます。ノイズもあまり拾わず、高音から低音までバランスよく鳴る。

オルトフォンを聴いて印象的だったのは高音域の繊細さや艶感でした。

比べてエンパイアのこのカートリッジが印象的なのは、全域にわたる解像度の高さです。全体の音の押し出しはオルトフォンに比べて控えめですが、くっきりとした美音が曇りなく響く感じです。

ジャズではあまりオルトフォンとの違いは大きくなく、どちらもよく鳴るカートリッジですが、クラシックのレコードを聞くと違いが鮮明になります。

特にダイナミックレンジの大きい大編成の管弦楽曲は、弦楽器の後ろのプルトの音まで聴こえる感じです。ヴァイオリンの音がオルトフォンよりも2〜3プルト多く聴き取れます。ホールの奥行きが深い印象です。

それぞれのカートリッジで得意科目があるようです。オルトフォンはジャズのライブ盤や室内楽のリアリティが高く、オーケストラものならエムパイアが得意そうです。

 

 

Victor JL-B77 レコードプレーヤー

Denon DP-1200 のターンテーブルが回らなくなってしまいました。

モーター不動。

治せる技術があれば良いのですが、持ち合わせておりませんので、買い替えを検討することに。

 

Victorのレコードプレーヤー

DENONの古いレコードプレーヤーは中古市場でもタマ数が多く、エントリーモデルから高級機まで実機を見て選ぶことができます。

DP-1200はエントリーモデルでしたが、しっかりした低音の分厚いサウンド、というDENONのアナログプレーヤーの特徴がよく感じられるものでした。

レコードの終わりで自動的にアームが上がるオートリフト機能が便利で、手軽にレコードをかけられる入門機としては最適でした。

今回は、ダイレクトドライブもいいけど、マイクロ精機のベルト駆動もいいなあ、とか考えていると、全く予期していなかった、Victorのプレーヤーを見つけてしまいました。

 

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Victor JL-B77

Victor JL-B77 の発売は1974年(昭和49年)。発売価格91,000円の高級機のようです。

まずキャビネットの木目に目が行きました。ちょっと他の中古品とは違うオーラを感じます。

 

高密度ブナ材を特殊ビニール系の接着剤で60mmの厚さに張り合わせた積層構造となっており、モーターやアーム部分をくり抜いた構造となっています。これにより内部振動を制御するとともに外部振動を抑えています。(「オーディオの足跡」より)

 

大抵のアナログプレーヤーは木目の塩ビシートで躯体はMDFですが、これは積層板でできているようです。厚さ60mm!。天板のブナの木目が美しいです。

積層構造のキャビネットはその後の各社のレコードプレーヤーも追随したそう。Victorのこの機種が先鞭だったのですね。

 

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当時のカタログ写真、気合の入ったカットモデルが素晴らしい。キャビネット部分はまるでバームクーヘンのようです。

 

トーンアームもマニュアルでいかにも精巧に作られています。マニュアルのトーンアームって実験器具のようで見ていてワクワクします。

 

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トーンアームを支えるピックアップボード部分には7mmのアルミ板。板厚を見せるためキャビネットに切り欠きを施しています。デザイナーわかってるなぁ。

 

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積層板とアルミの板厚の断面を見せる構成が美しい。

 

駆動部も抜かりありません。DCモーターのダイレクトドライブ。

 

JL-T77では駆動モーターに20極60スロット6フェーズのDCダイレクト・ドライブモーターを採用しており、無接点のホール素子サーボとビクター独自の正弦波駆動方式によって静粛な回転を可能にしています。
また、ターンテーブルにはアルミ合金製ダイキャストターンテーブルを一枚ずつ念入りにダイナミックバランスをとりながら仕上げて使用(「オーディオの足跡」より)

 

お買い上げして各部を清掃します。くすんでいたり汚れていたりする金属部分はピカールで、小傷があるアクリルカバーはサンエーパールで磨きます。ジャンク時計のお手入れ技術が活かされる部分です。

 

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クリアで見晴らしの良い音

オルトフォンのカートリッジをセッティングしてみます。

マニュアルのトーンアームは初挑戦なので、調べながらなんとかセッティングしました。

DENONのエントリーモデルとは音質が全く違いました。

 

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DENONの音が下に重い、ややぼやけた音であるのに対して、JL-B77 の音は非常に解像感が高く、高音域から低音域までクリアで見晴らしの良い音を出します。

演奏者や位置、距離感がつかめるようなリアルな音場、クリアで解像度の高い表現に「レコードってこんなに情報が詰まっていたのか」と驚かされました。

 

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これがエントリーモデルと高級機の違いなのだなあと、さらにオーディオ沼に深くハマっていく私なのでした。

 

 

「電線音頭」との再会

アナログ盤の愉しさ

レコードプレーヤーのカートリッジをオルトフォンに替えてからというもの、レコードを聴くのが愉しい。一枚をじっくり、一曲一曲を「きちんと聴く」体験は贅沢なものです。

オーディオ機器の歴史は、音楽を聴く行為をどんどん気軽に、手軽にしていく過程でもありました。機器の小型化は外へ持ち運べる音楽を実現しました。

卓上ラジオが小型ラジオになり、カセットテープレコーダーがラジカセに、ウォークマンに進化しました。

いまや実体メディアも必要なく、データ配信で音楽が聴けます。再生機は集積回路。

音楽の聴き方も変わり、イヤホンやヘッドホンで聴き続けられ、室内も屋外も関係なく聴く場所もシームレスになりました。

 一方で、最近アナログプレーヤーでレコードをかけて音楽を聴くことが、忘れかけていた記憶や音楽への向き合い方のようなものを思い起こさせてくれたような気がしています。

 

 ワーナー・パイオニア 邦楽総合試聴盤

クラシックやジャズの「ちゃんとした」名盤や名録音と呼ばれるレコードは中古市場でもプレミア価格でなかなかお高いです。一方、リサイクルショップの中古レコードコーナーやジャンクレコードコーナーでは、せいぜい数百円くらいで面白そうなレコードが見つかる時があります。ある日、見つけたレコードがこれです。

 

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ジャケットは簡素なもので、年月を記入できるようになっています。買ったのは「(昭和)52年12月」の記載のあるもの。

もちろんジャケット写真などなく、ワーナー・パイオニアのマークと「邦楽(LS)総合試聴盤」、「宣伝販促用 [非売品]」、「強力新譜」という文字だけ。文字列の圧が強い。

 

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放送局などにプロモーションで配布された今でいう“Power Play”なのでしょう。ワーナー専属歌手の当時の新曲が詰めあわされていました。

ジャケットを開けるまで実際にレコードにどんな曲が入っているのかすぐにはわからない、“お楽しみ袋”的な要素があります。

 

中を見てみましょう

小柳ルミ子「思い出にだかれて」、あのねのね「二人だけの休日」、さだまさし「線香花火」、ヒデとロザンナ「愛にふりむいて」…なるほどなるほど。

 

この盤の「当たり曲」はB面のこれ。

 

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御存知人工沸騰NET「みごろ!たべごろ!笑いごろ!」名物音頭

「デンセンマンの電線音頭」

デンセンマン・伊東四朗・小松政夫・スクールメイツ(!)

 

ご丁寧に小さな文字でこの曲だけ解説風の説明が書かれています。名物音頭て。

 

NETは日本教育テレビ。後の社名「テレビ朝日」に変わるのはこの総合試聴盤の発売年月である1977年(昭和52年)3月でした。

 

音楽というよりはまあ、テンションの高い「ベンジャミン伊東」と今は亡き小松政夫扮する「小松与太八左衛門」が電線軍団と乱入しながら踊る、というドタバタがそのままレコード化されています。

ちなみにデンセンマンのキャラクターデザインは石ノ森章太郎、スーツアクターは後にオフィス北野の社長となる森昌行氏のAD時代だそうです。豪華メンバーすぎやしないか。

 

自分の幼いころの記憶でも一番古いものの一つに、「祖母の家のこたつの上でデンセン音頭を踊っていた」というのがあります。

電線音頭…40数年ぶりの再会です。

 

 

オルトフォン VMS20E MkⅡ MMカートリッジ

今使っているアナログプレーヤーは、ドフで買った DENON DP-1200 ですが、ヘッドシェル、カートリッジ共ついていませんでした。

アナログプレーヤーのことはよくわからなかったので、とりあえずMM式のカートリッジを買えばよいのと、同じDENONであればマッチングもいいだろうということで、後日、別のドフで見つけたのが DL-8 でした。

DENON純正のヘッドシェル付き。このカートリッジは1975年ころのDENONのレコードプレーヤーに標準装備されていたそうです。良く調べると針部分がJICOの互換針に交換されています。(純正品は”DENON”表記の部分が、“STEREO”表記となっていました。)

 

レコードの音

リファレンス盤というわけではないですが、いつもサブスクで聴いている ビルエヴァンス をLP盤で聴いてみます。

(当時の機材は DP-1200 → Marantz NR1200 → ワーフェデール diamond 220)

第一印象は「音が濃厚!」。

4Bくらいの濃いめの鉛筆で筆圧強めに書いているデッサンのような音です。「レコードって表現力あるなぁ」と思いました。

 

オルトフォンのMI型カートリッジ

DENONのカートリッジが標準品ということもあり、カートリッジを交換したい欲が湧きました。

手に入れたのは「VMS20E MkⅡ」というMMカートリッジ。1974年登場のVMS(MI)型の中級機を務めたシリーズで、1977年にリード線の取付方法と出力端子の位置を変更、接点の金メッキ化した「MKⅡ」として発売されていたものです。当時の価格がヘッドシェルなしで25,000円。

この時代まで残っていたということは大事に扱われてきたに違いなく、中級機といえどもオルトフォン、期待が膨らみます。

 

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音楽の解像度が上がった 

これまでのDENONのカートリッジと同じレコードをオルトフォンで再生してみます。

レコードの太く濃密な音の輪郭はそのままに、表現に繊細さが加わったように感じます。シンバルやピアノタッチの高音域や金属音に透明感が出て、明瞭に聞こえます。音楽の解像度が上がった感じ。

クラシック、特にオーケストラをレコードで再生しても、DENONのカートリッジでは音が団子状に聞こえ、あまり感動はありませんでしたが、このカートリッジで聴くと解像度が高いので各楽器の動きが生き生きと感じられます。オケの中の弦楽器の音に艶感があります。

同じ音源を聴いていて、いままで聞こえてこなかった音が聞こえる、という体験は最もわかりやすく、デバイスの違いで音が変わる、ということを実感する部分です。

カートリッジの交換は思った以上に音の印象が良い方向に変わりました。

 

SONY CF-2700D FM/AMステレオカセットレコーダー

ジャンク品を捕獲

何かしらの宣言が出ていたこの連休中、遠出もできないので市内のドフをあてもなく偵察していると、ジャンク品コーナーにSONYのカッコいいラジカセを発見しました。

テープデッキの操作レバー、トグルスイッチ、各種ボリュームノブが整然と並ぶオーディオ然とした顔つきのラジカセです。

かつての敬虔な”SONY教”信者としては素通りできません。

ACコードもなく、電池ケースの蓋も欠品です。しかしPOPには「動作確認済」とあったのでダメ元で1,100円で捕獲してきました。

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見た目は”デンスケ”なステレオラジカセ

左側にカセットテープの格納・操作部、右側に円形のスピーカーという「ザ・ラジカセ」な構成が懐かしいですが、細部や機能部分のデザインにはラジカセ以上の高級感があります。

この機種は通常のラジカセとは違い横置き(据置き?)型です。側面に各種ダイヤルが配置されています。さらにL/R独立のVUメーター、ラジオチューナー表示部がアルミパネル上に配置されています。

スピーカー面にあるトグルスイッチはテープセレクター、ラジオ等のスイッチです。テープセレクターはノーマル(TypeⅠ)とフェリクローム(TypeⅢ)(!)が切り替えられます。さすがソニー、フェリクロームテープ開発者の矜持でしょうか。今となっては使いようのないセレクターですが、歴史の証言者のような誇らしい装備です。

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全体のデザインは、側面を見せる据え置きを意図したデザインで、ちょっとしたステレオ装置のミニ版といった趣です。実際、当時もラジカセからステレオへのステップアップ需要を企図した製品だったようです。同サイズのプリメインアンプまであったようです。

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カセットテープを再生したい

単一電池4本を入れ、カセットテープ操作部のレバーを動かしますがテープ部分は動きません。やっぱジャンクだったかー。

チューナー部は生きていました。FM/AM共感度良く受信します。L/RのVUメーターのR側はチューニングメーターになります。なにげに高性能。

35年選手だけあって結構汚れており、拭いたり磨いたりしているうちに「PAUSE」ボタンがあることに気づきました。「PAUSE」ボタンを押し込むとテープが再生されました。ボタンが押されたままになっており、一時停止状態だったようです。

ちなみに最初に再生したカセットテープはラベルのない SONY HF-ES46、高級ノーマルテープです。ダビングで録音したと思しき米米クラブ「TIME STOP」が流れてちょっとした感傷に浸りました。

早送り、巻戻しもOK、録音もできました。単体で鳴る音はスピーカー一発なので流石にチープな音ですが、なんだか懐かしい「ラジカセの音」で雰囲気があります。

ジャンク品でしたが致命的な故障はなかったようです。ラッキーでした。

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オーディオシステムにラジカセを組み込む

このラジカセにはL/Rのライン出力・入力端子があります。早速ラジカセのライン出力端子とコントロールアンプのTAPE入力端子をつなぎます。

ジャンク品でしたが、しっかりカセットテープを再生でき、マランツのアンプを通してHiFiサウンドで聴くことができました。確かにヒスノイズはありますが、中音域が豊かな厚みのある音です。カセットテープってこんなに良い音だった?と驚きます。

また、ステレオチューナーをラジカセ側の入力端子につなぐことでライン録音ができます。空のカセットテープがいくつかあるので、懐かしの「エアチェック」、挑戦してみようと思います。

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